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Power BIをもっと使いこなす:インタラクティブなPower BIのドリルダウン機能

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2016年は、さまざまな企業内データの可視化が注目され、BI(ビジネス・インテリジェンス)の注目度が一気にアップした年でした。完全無料で使えるPower BIクラウドサービスや、Office 365の一機能として付属する「Power BI Pro」を導入し、より高度な分析を行うために試行錯誤している企業がかなり増えてきています。

このように、Officeの一群としてPower BIデビューした場合や、Excel集計からPower BIへ移行した場合、データベースの世界では一般的でも、一般のビジネスユーザーには耳慣れない機能名も出てきます。そこで、2017年最初のコラムは、Power BIで使う「ドリルダウン」について触れてみます。

 

ドリルダウン分析とは

ドリルダウンとは、ひとことで言えば、集計データを階層によって掘り下げていく機能を指します。たとえば、ある店舗の売上情報があったとします。通常は「部門ごと」の売上総額だけが表示されていますが、階層を掘り下げて部門の下にある「サブカテゴリーごと」の売上も表示させる機能がドリルダウンです。同様に、年間/四半期/月/日付などの階層を使ったドリルダウンもよく使われます。

Excelでは、ピボットテーブルの「詳細データの表示」機能でドリルダウンを実現できますが、表示はマトリクス形式のみです。

一方、Power BIには、20以上の多彩な視覚化チャートが用意されており、グラフィカルなチャートで自在にドリルダウン・ドリルアップが行えるようになっています。あらかじめ階層関係をもった値を読み込んでおけば、チャートに「ドリルダウン」ボタンが自動で追加されるので特別な操作はいりません。また、深い階層までドリルダウンできるデータを持っている場合は、利用者にどこまでドリルダウンさせるかを調整することができます。ダッシュボードやレポートで、どの階層をデフォルト表示にするのかを選ぶことも可能です。

参考:ビジュアルの階層とドリルダウンの動作

 

ドリルダウンを利用する際に注意したいこと

このようにPower BIのドリルダウンは柔軟性が高く、とても便利な機能ですが、実際にレポートを作成されている方ならわかるように、ドリルダウンは「作れば必ずよいレポートになるもの」ではありません。

たとえば、いつも「月単位」でしか出力しない店舗の売上データを、「日ごと」にドリルダウンできるようにすれば、たしかに便利ですし、もしかすると、そこから新しい知見が得られるかもしれません。ただし、本当に使えるデータなのかどうかは、データの表示方法ではなく、作ったレポートを使う人の意向に依存していることに注意しましょう。この例でいえば、店舗の売上げをチェックするマネージャが、売上データをどう分析したいと考えているかによります。現場を統括するマネージャは、場合によって日ごとの売上の違いが重要と考えるかもしれませんし、売り場ごとの違いをドリルダウンしたいと考えることもあるかもしれません。

ですから、レポートをまとめるときは、作成したレポートを使う上司や担当者と「どこをドリルダウンさせるか」「表示はどのチャートがいいか」、必ず相談しながら決めていって欲しいと思います。

Excelレポートの場合は、データの表現方法が限られていることもあり、関係者も指示が出しやすく、一度か二度の修正でレポートを完成させられるというのが一般的かもしれません。しかし、Power BIの場合、様々に視点を変えながらデータをドリルダウンしたり、他のチャートと相関したインタラクティブな動きをさせたりすることができるなど、選択肢が幅広いため、どの見せ方がベストな状態かを一度で見つけるのは難しいです。

Power BIの強みは、さまざまなビジュアルのレポートを短時間で作成し、そのままオンラインでシェアしたり、モバイル端末に表示したりして、すぐに関係者と共有できることです。作成したBIチャートを、実際にその場で触ってもらいながら評価をフィードバックしてもらうことで、より確実な指示を得ることができるでしょう。このように、Power BIは、小さいサイクルでの評価フィードバックを繰り返しながら作り上げていくアジャイルなワークフローが向いています。特に、分析は「気づき」を得るために行う作業なので、最初から自明のゴールが共有されていないケースがほとんどです。そのため、小回りが利き、修正がしやすいPower BIで、レポートを作りながら考える、ということが「気づき」を求めるなかでも有利になってくると思うのです。

 

2017年はよりニーズが高まるBIスキル

これまで主流だった大規模なBIツールに代わり、Power BIをはじめとする「セルフBI」というジャンルが浸透してきたことで、2016年は比較的小さな規模の企業でのBIの利用が広がりました。デジタルトランスフォーメーションと呼ばれる、業態をデジタルに移行しようという大きなムーブメントの中で、これまで活かされていなかった社内のデータをもっと活用しよう、というニーズがどんどん増えています。その際に、小回りの利くBIを使って、まずは自分たちでやってみようという事例が、わたしたちのお客様の間でもよく聞かれるようになりました。

「社内のデータを可視化する」ということに対し、今まで以上に企業の方々の興味・関心が高まってきています。その反面、「BIソフトの操作ができる人がいない」「トレーニングは受けたけれど、データ分析の処理に長けた人材が足りていない」という悩みも同時に噴出してきています。ですから、2017年は、BIに関わる人材不足を解決しながら、それによってデータ分析の利用が更に広がっていく年になると考えています。

今年は、POWER BI FORUMの皆さんがBIスペシャリストとして、さらに飛躍の年になると私も期待しています。

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北川剛(キタガワツヨシ)
日本マイクロソフト株式会社
日本マイクロソフトで Azure を含むサーバー製品を担当するプロダクトマネージャー。 大学時代にインターネットの洗礼を受け、研究室でデータベースを利用したウェブシステムを構築するというきっかけを得たことから、データベースの道に進むことに。現在はデータベースだけではなく、クラウド上のサービス群もカバーするという難題を NIKU を燃料に対応している。