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いま急増中のセルフサービスBI 導入時に検討すべき3つのポイント

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今回は、企業におけるセルフサービスBIニーズが急増していることを受け、ツール導入決定者が気をつけるべき点を紹介します。

 

急増する「セルフサービスBI」のニーズ

ビジネスの現場でも、「セルフサービスBI」という言葉がよく聞かれるようになってきました。Power BIはセルフサービスBIに属するソフトとクラウドによるサービスですが、この「セルフサービス」という定義、確固とした基準が存在するわけでありません。

たとえばガソリンスタンドで、専門のスタッフが対応してくれる店と、セルフで給油をする店がある、という違いをイメージしていただけるとよいでしょう。これまで情報システム部の専門家でないと扱えなかったBIツールを、現場の担当者も使えるようになってきた、というだけのことです。その背景には、これまでデータベースなどの専門的な知識が必要だったBIツールの操作が、ツールの進化により簡単になり、専門家でなくても十分扱えるものになってきたことがあります。Power BIの場合は、操作性に加え、Office製品やExcelに馴染みのあるビジネスパーソンの方が、違和感なく使えるインターフェースになっていることもセルフサービスBIツールとして人気の理由です。

これもガソリンスタンドと一緒で、難しい学習も必要なく、誰でも比較的安全に給油できる設備が整ったからこそ、セルフサービスのガソリンスタンドが普及したのでしょう。それと同じように、操作に特別なスキルを必要としないツールが出てきて、これなら情報システム部でなくても使えるかも、というところから「セルフサービスBI」シーンも盛り上がりはじめたといえます。

「セルフサービスBI」ブームはまだ始まったばかり。今後はさらに、ビジネス利用者、導入企業が増えていくでしょう。そこで、BIを導入してから失敗しないために、ツール選択の際のポイントをおさえておく必要があります。

 

セルフサービスBI選択の3つのポイント

セルフサービスBIを導入する場合に、導入決定者が見落としがちな点、検討すべき点はどんなところでしょうか? 「難易度」「ツールの価格」「ユーザー数」の3つの観点がポイントになることが多いです。

・ポイント1:難易度の見極め

導入後によく聞かれる例ですが、BIツールはまだまだ専門的なイメージがあり、ビジネスインテリジェンスのソフトに精通しているIT部門の担当者が、導入検討・決定を行うケースが多いという現状があります。
ところがIT部門の担当者は、専門性の高いBIツールを見てきているため、一般のビジネスユーザーとは「使いやすい」「わかりやすい」というレベル感が、だいぶん違っているのです。BIのプロの人たちから見た「超簡単」は、はじめてBIツールを目にする人にとって「摩訶不思議」でしかなかったりするのですね。

この難易度をはかり間違えてしまうと、よい機能を備えたBIツールであっても、社員が使いこなせず、ライセンスも無駄になってしまうことになりかねません。操作難易度の見極めのために、できれば新しくBIを使う予定の現場責任者も選定に参加するべきでしょう。

・ポイント2:価格は必ずしも内容に比例しない

価格は、企業の予算もありますから、いくら以上・以下でないとダメということはありません。ただしBIツールは、機能範囲も広く、製品によってできることも異なると同時に、価格にはだいぶん幅があることも認識しておきましょう。

BIツール自体では、1ユーザー年間ライセンスで10万円のものもあれば、数百万円というものもあります。ユーザー数ごとに課金される料金体系が多いのですが、セルフサービスBIでは「ユーザー数が増える」という点も次のポイントと合わせて確認しましょう。

・ポイント3:ユーザー数の増加におけるパフォーマンスの低下に注意

BIツール選択の落とし穴となる点に、ユーザー数があります。2~3人で使っていたBIサービスを、全社向けに展開したら10ユーザー程度で急激に動作が重くなり、使い物にならなくなってしまった、というような失敗例もよく耳にするからです。

これは、少数の専門家が使うツールとしては問題なかった構成ではあったものの、ユーザー数の増加に耐えうる十分なサーバー性能を備えていないまま、アカウント数を増やしてしまったことで問題が起きたケースです。導入前には、既存のデータベースシステムで、パフォーマンス対策は十分か、現場のPCスペックで問題なく動くか、なども必ず確認しておきたいポイントです。

このように、セルフサービスBIは、専門家が使うBI専門ツールを選択する際の見方から、考え方を大きく切り替えて選択する必要があるといえるでしょう。

 

セルフサービスBIで「インサイト」を得るには?

現場に導入されたセルフサービスBIツールを使うとき、その最終目的は、ビジネスパーソンがデータから「インサイトを得る」ノウハウを身につけていくことです。最近よく聞くようになった「インサイト」とは、英語で「洞察」という意味ですが、マーケティングの世界では、消費者行動や、顧客の「本音」や「行動原理の発見」と言われるものです。

BIツールを使うことで、さまざまなレポートやデータがスピーディに作成できますし、Power BIでは、よく使われるレポートを自動で作成する機能も備えています。しかし、レポートを作成した段階は、結果が目の前に可視化されただけで、まだインサイトを得た段階とはいえません。インサイトを得るためには、そこから一歩進んで、ビジネスの現場の知見を活かしてデータを探る必要があります。

専門家の手を離れ、現場のビジネスパーソンにBIツールが渡り、個別の発見をするために試行錯誤を重ねる。そこに、企業でセルフサービスBIが導入されることの醍醐味があると思います。

 

ビジネスのデータと付き合っていくときに変わること

セルフサービス BI により、現場の担当者にとってデータが身近なものになると、ビジネスの進め方に一つの大きな変化が生まれます。それは、結果予測や意思決定を行う際、「常にデータを根拠に判断する」仕事のやりかたに変わっていく、ということです。

データドリブンでなかった時代は、「なんとなく今月の成績がよかったので、きっと来月も成績が伸びそう」といった曖昧な予想をすることがありました。いまは、今月の営業成績がよかったならば、成績が良かった根拠をデータの中から探し出すことができないと、データに基づいた意思決定ができなくなっていくのです。

今月の好調の理由はどの指標から分かるのか、またそれは前月に予測できたか、予測が外れたならばどの指標をみるのが正しかったのか…。そのようなデータドリブンなビジネスのノウハウを、現場で身につけていく。セルフサービスBIの最終的な利用価値は、ここにあると思います。

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北川剛(キタガワツヨシ)
日本マイクロソフト株式会社
日本マイクロソフトで Azure を含むサーバー製品を担当するプロダクトマネージャー。 大学時代にインターネットの洗礼を受け、研究室でデータベースを利用したウェブシステムを構築するというきっかけを得たことから、データベースの道に進むことに。現在はデータベースだけではなく、クラウド上のサービス群もカバーするという難題を NIKU を燃料に対応している。