INTERVIEW

ファイナンス部門でグローバルにPower BIを活用(後編)

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前回に引き続き、日本マイクロソフト、ファイナンシャル部門でのPower BI活用についてお話を伺います。前回は具体的なPower BIレポートを元に、活用例について伺いましたが、後半はファイナンシャル部門でのレポート制作のコツや極意に迫ってみたいと思います。

 

グラフはシンプルで、ビジネスの決断がしやすいものが基本

—Power BIでレポートを作成する際に心がけていることはありますか?

意外と思われるかもしれませんが、なるべくシンプルなチャートしか使わないようにしています。本社からも、部門オリジナルのフォーマットを作らないように指導されています。各自が違うフォーマットを作ると、同じ内容のレポートでも見え方が変わってしまったり、制作に時間をかけすぎてしまったりといった悪影響もあります。そしてそれ以上に、本来の目的から離れてしまう危険があるからです。

—「レポートを作る目的」ということでしょうか。

そうです。レポートを作る際は、売上の増減や伸張率など、注目すべき数字がひと目でわかるものであることが重要です。ビジネスの判断のために必要な情報以外が入ってきてしまうと、判断が鈍ってしまったり、迅速に行えなくなったりするためです。

—シビアに数字を見ていかなければならないため、無駄な思考が入らないほうがよいですね。

具体的には、なるべくシンプルかつ一般的な形状のチャートを使います。また、色使いもなるべく誇張がない色使いにします。もしもこれが、マーケティングや多くの聴衆の前で行うプレゼンテーションの場合は、話し手が強調したい部分をハイライトしたりしますが、ファイナンスのレポートの場合は、経営判断に影響を与えないよう、恣意的な情報が入らないようなレポートになるよう気を配ります。

—むしろ、Power BIのデフォルトのままの色味のほうがいいくらいですか。

そうですね。Power BIではデフォルトの配色のままで使っています。また、よく使う形状のチャートは、誰でも知っている棒グラフ、折れ線グラフ、パイチャートが多くなります。決して手を抜いているわけじゃないですよ(笑)。だれでもわかるものとなると、このあたりをメインに使うのがベストなんですね。

 

単一データを共有することによる確実性、最新データの迅速性

—これらのシンプルなチャートであれば、Excelでもできる…という方もいらっしゃると思います。どうですか?

そうですね。もちろん私たちも簡単なものをぱっと作るのにExcelを使うこともあります。ただ全社統一のデータベースに接続し、日本法人全員のデータ扱うとなると読み込むデータ量が大きいので、Power BIのほうが快適、ということがあります。

それ以外にもPower BIであれば、ダッシュボードを共有すれば、関係者全員に最新の情報が行き渡り、どこでもすぐにチェックできるという利点もあります。Excelですと、関係者にメール添付でファイルを送っても、更新日などで差分が出ることがあります。会議の際にどのファイルが最新か、と混乱することもあります。これはどんな会社でもあるトラブルではないでしょうか?

—ありますね。「ファイル名の末尾『0602』が最新です」と言われていたのにじつはそのファイルは古かった…、などいったトラブルもあります(笑)

ビジネス上の決断するときには、判断の根拠となるデータが正確であることが担保されていないと、データを見て判断する意味がありません。最新のデータや詳細データの確認がスムーズにできるということで、Power BIのほうが便利だな、となることは増えていますね。

—会議の場に大量のプリントを用意するといったこともなくなりますね。

以前の報告書ではPower PointにExcelのチャートを貼り付けて資料作成していました。これがPower BIでオンラインになるだけでも助かりますが、ファイナンスの人間の性として、「基本的には会議では使わないけれども、もしも参加者から指摘や質問があったらいけないから、あの部分の詳細データも用意しておこう」といったことがあります。そのデータがないと、意思決定が先送りになってしまうこともあるためです。

その結果、会議で必要な資料は10枚程度なのに、参考ページが50ページも必要になるということがあります。

Power BIであれば、予定していなかった数字が求められても、その場で表示を切り替えてデータを読み出せるので、紙や資料作成の時間が節約できるだけでなく、会議の参加者全員の希望にその場で対応できるようになりました。

 

難易度の面で、Excelとの差はほとんど感じない

—Power BIをうまく取り入れることで、資料の作成時間もミスも減り、本当にいいことずくめですが、ツールになれるまでの学習はどうでしょうか? かなり学習時間を必要とされましたか?

慣れているルーチンがあると、わざわざ今までのやり方を変えてまで…という気持ちは誰にでもあると思うのですが、実際にPower BIに移行してみると、ほとんど苦労はなかったですね。
これまで資料の作成は、Excelをメインに使い、あとはWordかPower Pointで見栄えを整えるというやり方が一般的でした。数字を扱うことには慣れていますが、決してプログラミングの知識があるわけでも、Accessなどのデータベースに詳しいわけでもありません。

それでもすんなり使えたので、私も同じ部のスタッフも、Power BIはすごく気に入っています。

—移行はどのように進めましたか?

Excelを使って月次で作成していたもののうち、簡単にレポートが作成できそうなところから、Power BIへの移行を試してみました。小さなところから徐々に始めると、いくつかレポートを作成するうちに、だいたいの機能は使いこなせるようになっていました。
あとは、他国のチームが公開しているデータを見て学習したこともありますね。やはり、複数のデータソースを利用するレポートが圧倒的に多いので、リレーションの概念を理解できるようになると作業が楽になります。ただ、これも1度しくみを準備してしまえば、あとは同じファイルを使って更新すればいいだけなので、絶対できないと心配することはないと思います。

—とくに高度なスキルは必要ないのでしょうか?

なんとなくExcelでやっていたものを、Power BIではこうやるのかな?と覚えていく感じでした。データ形式を文字列から数値に変換したいときや、ごく簡単な数値計算をさせたいときも、たいていはホームリボンの中の機能ひとつでできてしまいます。たとえば「データ型の変換」機能を使う、などのちょっとした便利な機能をひとつひとつ覚えることで、気付けばだいぶん多くのことがPower BIで実現できるようになっていました。

逆に「vlookupが面倒だなあ。」と思うこともあったりして、Excelで毎日関数を使ってレポート作成していたことが遠い昔のようです(笑)

—最後に、「これからPower BIを使ってみたい」と思っている方に応援メッセージをいただけますか?

「こんな私でもできた!」と言えるくらい、Power BIは難しいことを覚えることなく、使うことができます。そして、Power BIを少しずつ使えるようになると次第に、「あの仕事はExcelでやったほうが早いな、こちらの仕事はPower BIでやったほうがいいな」などと選べるようになってきます。その頃には、自分自身のスキルも広がったという充実感が持てると思います。Excelで、データに変更があるたびに再集計したりグラフの作り直しをしたりに悩まされている方や、毎月手間のかかるルーチンのレポート作成がある方などには、本当にPower BIのダッシュボードはおすすめできますね。

もちろん、ツールによって得意不得意はありますが、Power BIの得意なことが分かると、自分の中でもこれはExcelで、あれはPower BIで、と仕事をするときの自分の引き出しも増え、より効率的に仕事を片付けられるようになると思いますので、ぜひチャレンジしてみてください。

—本日は、どうもありがとうございました。